冬のワンルームでいちばん高くつくのは、寝ている間のエアコンです。起きているときは着込めばしのげますが、布団に入ってから朝までの7〜8時間、部屋ごと暖め続けるのはさすがに効きます。かといって切ると、朝方に寒くて目が覚める。
電気毛布は、この時間帯だけを狙い撃ちする道具です。部屋ではなく体の接触面だけを暖めるので、消費電力の桁がひとつ違う。今回並べた6機種は、定格で10Wから80W。エアコンの暖房が数百Wから1kWを超えることを思えば、比べる相手にすらなっていません。
ただし、この安さは「部屋は寒いままでいい」という前提とセットです。ここを取り違えると、買ってから「思ったより暖かくない」になります。それと、もうひとつ落とし穴があって、「丸洗いOK」と書かれた電気毛布のほとんどはドラム式洗濯機で洗えません。今回の6機種も、洗い方が明記されているものは全部ドラム式が不可でした。
この記事では、一人暮らし向けの電気毛布6機種を公式仕様の数値だけで並べます。先に結論を書くと、寝るときのエアコンを止めたいなら敷きタイプのパナソニック DB-U12T、身長があって足先まで届かせたいなら広電の敷きパッド VWP552H-B、ソファでも布団でも使い回したいならなかぎし NA-013Kが有力です。デスクワーク中の足元だけならアイリスオーヤマのUSBひざ掛けで足ります。
この記事が向いていない人
先に外しておきます。次に当てはまる人は、読んでも欲しいものが出てきません。
- 部屋を暖めたい人。電気毛布は室温を上げません。触れている面だけが暖かくなる道具です。朝起きて部屋が寒いのは変わらないので、そこを解決したいなら暖房器具の記事を読んでください。
- ドラム式洗濯機しか使えない人。今回の6機種は、洗い方を公表しているものすべてがドラム式不可です。手洗いか、洗える環境があるかを先に確認してください。この記事の後半でその話を詳しくします。
- つけっぱなしで朝まで寝たい人。各メーカーは就寝中の連続使用について注意を出しています。使い方の前提が合わないと、どの機種を選んでも満足しません。
- 健康上の効果を期待している人。この記事は暖かさと電気代と手入れの話しかしません。体調への影響については触れません。
電気毛布は「暖かさ」だけで選ばない
商品ページに並ぶのは、たいてい素材の手ざわりと温度調節の段階数です。どちらも決め手になりません。今回の6機種は表面温度が「強」で51〜52℃とほぼ横並びで、素材はどれもポリエステル系。差がつくのは別の3か所です。
基準1 敷きか掛けかで、必要な電力が変わる
電気毛布は体に触れている面から熱が伝わります。体の下に敷けば、体重で密着するぶん熱がよく伝わり、逃げにくい。上から掛けると、生地と体のあいだに隙間ができて、暖かい空気が上に抜けます。
この差は数字に出ています。今回の敷きタイプは40W(広電 130×80cm)と54W(パナソニック 140×80cm)。掛け敷き兼用は75W(パナソニック 188×137cm)と80W(なかぎし 188×130cm)。面積が広いぶんもありますが、同じ「暖かい」を得るのに敷きのほうが小さい電力で済みます。面積あたりで見るとさらにはっきりします。広電の敷きパッドは200×100cmで55W。パナソニックの掛け敷き兼用より4割ほど広いのに、電力は3割少ない。
掛け敷き兼用は、その名のとおりどちらにも使えます。冬はソファに掛けて、寝るときは敷いて、という回し方ができる。ワンルームで暖房器具を増やしたくないなら、この汎用性には値打ちがあります。ただし188×130cm前後と大きいので、収納の場所と洗う手間はそのぶん増えます。
基準2 サイズは布団ではなく「自分の身長」で決める
敷きタイプの定番サイズは130×80cmと140×80cmです。数字だけ見ると布団に収まりそうですが、これは全身をカバーする長さではありません。
140cmの毛布を肩の位置から敷くと、身長170cmの人なら足首から先が外に出ます。上半身は暖かいのに足先だけ冷たい、という状態になる。低評価レビューで「足が寒い」という指摘が出るのは、故障ではなくこの寸法の問題であることがほとんどです。
足先まで届かせたいなら、200cm級を選ぶことになります。今回だと広電の敷きパッド(200×100cm)と、掛け敷き兼用の188cm級。逆に「腰から下だけ暖まれば十分」なら130cmで足ります。短いほうが軽く、洗うのも収納も楽です。ここは大きければいいという話ではありません。
基準3 洗い方は、買う前に自分の洗濯機と突き合わせる
電気毛布は肌に直接触れて、寝ている間の汗を吸います。シーズン中に何度か洗うことになる。だから「洗えるか」ではなく「自分の洗濯機で洗えるか」を見てください。
公式仕様で洗い方が明記されている機種は、今回すべて次の条件が付いていました。
- コントローラーを本体から外すこと
- 洗濯ネットに入れること
- ドラム式洗濯機は使用しないこと
- ドライクリーニング不可
加えて、縦型でも「毛布洗いコースに対応した洗濯機」を条件にしているメーカーがあります。一人暮らし向けの5〜6kgクラスだと、188×130cmの掛け敷き兼用は容量的に入らないこともある。大きい機種ほど、洗える場所が減っていきます。
電気毛布6機種の比較表
| 機種 | タイプ | サイズ | 定格 消費電力 | 電気代 (1時間・強) | 室温 センサー | 質量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ HW-HBK | ひざ掛け (USB給電) | 100×70cm | 10W | ― | ― | 約520g |
| 広電 CWE401H-C | 敷き毛布 | 130×80cm | 40W | ― | ― | ― |
| パナソニック DB-U12T | 敷き毛布 | 140×80cm | 54W | 約1.0円 | あり | 約0.5kg |
| 広電 VWP552H-B | 敷きパッド | 200×100cm | 55W | 約0.97円 | ― | ― |
| パナソニック DB-RM3M | 掛け敷き兼用 | 188×137cm | 75W | 約1.7円 | あり | 約2.2kg |
| なかぎし NA-013K | 掛け敷き兼用 | 188×130cm | 80W | 約1.6円 | あり | 約1.3kg |
1. アイリスオーヤマ ヒートブランケット HW-HBK-T

公式仕様
- タイプ:ひざ掛け/USB給電(Type-A)
- サイズ:幅約100×奥行約70×高さ約1cm/質量 約520g
- 入力:5V・2A/消費電力 10W/待機電力 0.7W
- ヒーター:カーボンナノチューブ
- 温度調節:4段階
- 洗濯:丸洗い可
- 給電ケーブル長:1200mm
- 素材:ポリエステル100%
- カラー:ブラウン(-T)/ボーダー(-W/A)
購入者レビューの傾向
モバイルバッテリーで動くことへの評価が中心です。コンセントの位置に縛られないので、デスクの下でも、床に座っているときでも使える。ワンルームはコンセントの数も位置も選べないことが多いので、ここは実用的な差になります。立ち上がりが速いという声も目立ちます。
気になる点として挙がりやすいのは、暖かくなる範囲が限られることです。100×70cmと小さいうえ、発熱するのは全面ではなく一部。「電気毛布のつもりで買うと物足りない」という評価が出ます。10Wという数字を見れば当然で、これは暖房の代わりではなく、エアコンをつけた部屋で足元を補うための道具です。
編集部の判断
向いているのは、在宅で机に向かう時間が長い人。足元だけが冷える、という状況にはよく効きます。約520gと軽く、洗えて、たたんで引き出しに入る。オフシーズンの置き場所に困らないのは、6機種でこれだけです。
向いていないのは、寝るときに使いたい人です。USB給電なので、寝ている間ずっと使うならモバイルバッテリーの容量か、枕元のUSBポートが要ります。サイズも布団に敷くには足りない。冬の電気代を下げるという目的では、この機種は答えになりません。他の5機種とは用途が違うものとして見てください。
2. 広電 電気敷毛布 CWE401H-C

公式仕様
- タイプ:しき毛布
- サイズ:約130×80cm
- 消費電力:40W
- 表面温度:強 約52℃/中 約36℃/弱 約20℃
- 素材:たて糸 ポリエステル100%/よこ糸(毛羽部分)綿100%
- ダニ対策:あり(屋内じん性ダニ類対策)
- 洗濯:丸洗い可(コントローラーを外して洗濯ネット使用/ドラム式は使用不可/ドライクリーニング不可)
- 省エネ:同社従来品比で約26%省エネ
- カラー:ベージュ/ボーダー
購入者レビューの傾向
肌に触れる面が綿という点への評価が集まりやすい機種です。電気毛布の多くはポリエステルのフリース調で、これは暖かいかわりに静電気が起きやすく、汗をかいたときに肌に張り付く感触が苦手だという人がいます。よこ糸に綿を使っているこのモデルは、そこを避けたい人の選択肢になります。
気になる点として挙がりやすいのは、ふわふわした触り心地を期待すると違うという指摘です。綿は起毛素材ほどのボリュームが出ません。もうひとつ、温度調節がスライド式の無段階なので、「中」を数値で固定したい人には物足りないという声もあります。
編集部の判断
向いているのは、価格を抑えたくて、化繊が肌に合わない人。40Wは今回の敷きタイプで最小です。130×80cmという最小サイズは、洗うときにも収納するときにも効いてきます。5kgクラスの洗濯機でも扱える大きさです。
向いていないのは、身長が高い人と、自動で温度を任せたい人です。130cmは今回の敷きタイプで最も短く、足先は確実に外に出ます。また、この機種は公式仕様に室温センサーの記載がありません。部屋が冷え込んだときに出力を自動で上げる仕組みは期待しないほうがいい。夜中に暑くなったり寒くなったりしたら、自分でつまみを回すことになります。
3. パナソニック 電気しき毛布 DB-U12T-C

公式仕様
- タイプ:電気しき毛布(シングルSサイズ)
- サイズ:約140×80cm
- 消費電力:定格54W
- 電気代(室温10℃・1時間):強 約1.0円/「3」 約0.6円
- 表面温度(室温20℃):強 51℃/「3」 37℃
- ヒーター:ニッケルサーミスタ一線式/室温センサーあり
- ダニ対策:あり
- 素材:表側・裏側とも ポリエステル70%・アクリル30%
- 質量:本体 約0.5kg/コントローラー 約0.3kg
- コード長:本体側0.46m/電源側1.91m
- カラー:ベージュ(-C)/グリーン(-G)
購入者レビューの傾向
売れ筋の上位に長く居座っている機種で、レビューの蓄積が今回いちばん厚い。評価の中心は室温センサーの効き方です。部屋が冷えれば出力を上げ、暖まれば下げるので、つまみを固定したまま朝まで安定する、という声が集まります。本体約0.5kgという軽さも、洗うときと敷き直すときに効くという評価が出ます。
気になる点として挙がりやすいのは、コード長です。本体側のコードが0.46mと短いため、コントローラーが布団の縁からあまり離れません。ベッドの配置によっては、電源をとる位置に制約が出ます。もうひとつ、140×80cmという寸法に対する「思ったより小さい」という指摘。これはシングルSサイズという名前どおりの寸法で、故障ではありません。
編集部の判断
向いているのは、寝るときのエアコンを止めたい人。この記事の目的にいちばん素直に答える機種です。強でも1時間あたり約1.0円という公表値で、仮に8時間×30日使っても月240円ほど。室温センサーで勝手に加減してくれるので、実際にはこれより下がります。
向いていないのは、足先の冷えをどうにかしたい人です。140cmは腰から下を全部カバーする長さではありません。肩まで暖めたければ足が出るし、足を優先すれば肩が出る。どちらか選ぶことになります。全身をまとめて暖めたいなら、次の広電の敷きパッドか、掛け敷き兼用の2機種を見てください。
4. 広電 電気しきパッド VWP552H-B

公式仕様
- タイプ:しきパッド(シングル)
- サイズ:約200×100cm
- 消費電力:55W
- 消費電力量(1時間あたり):強 約31Wh/中 約18Wh/弱 約3Wh
- 電気代(1時間・31円/kWh換算):強 約0.97円/中 約0.56円/弱 約0.10円
- 表面温度:強 約52℃/中 約36℃/弱 約20℃
- 生地:フランネル/組成 ポリエステル100%
- 配線:頭寒足熱/ダニ退治機能:あり
- 裏面4隅にズレ防止のゴムバンド
- 洗濯:本体丸洗いOK(コントローラーを外して洗濯ネット使用/ドラム式は使用不可)
- 温度調節:スライド式(無段階)/室温センサーの記載なし
- カラー:ブラウン系(-B)/モカ無地
広電はこのしきパッドを色柄違いで複数の型式で出しており、製品ページの仕様表は型式VWP551H-MMとして掲載されています(サイズ・消費電力・機能は共通)。上記はその公表値です。
購入者レビューの傾向
「ずれない」という評価が集中します。敷きパッドなので四隅のゴムバンドでマットレスや敷布団に固定でき、寝返りを打っても朝までそこにある。毛布タイプは寝ているあいだに丸まって足元に寄ることがあるので、この差を実感として書いている人が多い。200cmという長さで足先まで入ることへの評価も同じくらい出ます。
気になる点として挙がりやすいのは、洗うときの扱いにくさです。200×100cmという面積は今回の6機種で2番目に大きく、水を吸うとかなり重くなる。5〜6kgクラスの洗濯機だと容量的に厳しいという指摘が出ます。もうひとつ、温度調節がスライド式の無段階で、室温センサーの記載も無いこと。夜中に暑くなったら自分でつまみを動かすことになります。
編集部の判断
向いているのは、身長があって足先が冷える人と、寝相が悪い人。200cmという長さと、ゴムバンドで固定できる構造。この2つを両方持っているのは6機種でこれだけです。頭寒足熱配線で足元側の発熱を厚くしているので、目的にも合っています。強で1時間あたり約31Whという公表値も、200cmという面積を考えると小さいほうです。
向いていないのは、洗濯機が小さい人と、敷布団を毎日たたむ人です。200×100cmのパッドを家で洗うには、それなりの容量が要ります。洗える環境が無いと、シーズン中ずっと洗えないまま使うことになる。また、敷きパッドはマットレスに敷きっぱなしにする前提の道具です。毎朝たたんで押し入れにしまう生活だと、ゴムバンドの付け外しが毎日の手間になります。
5. パナソニック 電気かけしき毛布 DB-RM3M-C

公式仕様
- タイプ:電気かけしき毛布(シングルMサイズ)
- サイズ:約188×137cm(今回で最も広い)
- 消費電力:定格75W
- 電気代(1時間):強 約1.7円/「3」 約1.0円
- 表面温度(室温20℃):強 51℃/「3」 37℃
- 室温センサー:あり/ダニ対策:あり/8段階の温度調節
- 素材:表側・裏側とも ポリエステル100%
- 質量:本体 約2.2kg/コントローラー 約0.3kg
- コード長:本体側0.97m/電源側1.91m
購入者レビューの傾向
掛けても敷いても使えることと、8段階で細かく温度を決められる点が評価されています。137cmという幅は今回で最も広く、掛けたときに体の左右から熱が逃げにくい。本体側コードが0.97mと長めなので、ベッドのどちら側からでも電源が取りやすいという声もあります。
気になる点として挙がりやすいのは重さです。本体約2.2kgは今回の6機種で最も重く、掛け毛布として使ったときに「重さを感じる」という指摘が出ます。洗うときも同じで、188×137cmを家庭用の洗濯機に入れるのは容量との相談になります。発売から年数が経っている型番であることを気にする声もありますが、後継機は出ておらず、これがこのクラスの現行品です。
編集部の判断
向いているのは、暖房器具を1つで済ませたい人。冬のあいだソファに掛けておいて、寝るときに布団へ移す、という使い方ができます。ワンルームで置き場所を増やしたくないなら、この汎用性は素直に利点です。室温センサーと8段階調節の組み合わせは、6機種で最も細かく詰められます。
向いていないのは、家で洗いたい人と、収納場所が無い人です。188×137cmという大きさは、洗うときも、オフシーズンにしまうときも、そのまま負担になります。5〜6kgクラスの洗濯機では入らない可能性が高い。押し入れの無い部屋なら、夏のあいだこれをどこに置くかを買う前に決めておいてください。
6. なかぎし 電気掛敷兼用毛布 NA-013K

公式仕様
- タイプ:電気掛敷兼用毛布(椙山紡織/ブランド名「なかぎし」)
- サイズ:約188×130cm/質量 約1.3kg(コントローラー含む)
- 消費電力:定格80W(実測は強 約50Wh/中 約27Wh)
- 電気代(1時間):強 約1.6円/中 約0.8円/弱 約0.2円
- 表面温度:強 約52℃/中 約36℃/弱 約20℃
- 室温センサー:あり/ダニ退治機能:あり/頭寒足熱配線
- 洗濯:丸洗いOK
- 素材:たて糸 ポリエステル100%/よこ糸 ポリエステル70%・アクリル30%
- 日本製
購入者レビューの傾向
長く売れ続けている定番で、「何年も使っている」という長期使用の報告がいちばん多い機種です。日本製であることを選んだ理由に挙げる人も目立ちます。掛け敷き兼用としては本体約1.3kgと軽く、同じ188cm級のパナソニック DB-RM3M(約2.2kg)と比べると900g近い差がある。この軽さを評価する声が集まります。
気になる点として挙がりやすいのは、生地の薄さです。軽さと表裏一体で、掛け毛布として単独で使うと物足りないという指摘が出ます。これは製品の欠陥ではなく、電気毛布という道具の性格で、掛け布団の下に入れる前提のものです。もうひとつ、コントローラーの表示が見にくいという声もあります。
編集部の判断
向いているのは、掛け敷き兼用が欲しいが、洗って収納する手間は減らしたい人。188×130cmで約1.3kgという軽さが効きます。同じサイズ帯で2kg超の機種と比べると、洗濯機に入れるときも、干すときも、たたむときも扱いが違う。弱運転なら1時間あたり約0.2円という公表値も、6機種で最も低い数字です。
向いていないのは、これ1枚で寒さをしのごうとしている人です。生地が薄いので、掛け布団を使わずにこれだけを掛けても暖まりません。あくまで布団と組み合わせる道具として見てください。ふわふわした厚手の手ざわりを求めているなら、期待とずれます。
低評価レビューで指摘が集中していた点
ここからは特定の機種の話ではありません。電気毛布に低い評価がつく理由は、たいてい故障ではなく、この道具が何をする機械なのかという理解のずれから来ています。
1 部屋は暖まらない。エアコンの置き換えにはならない
いちばん多い落差です。電気毛布は接触面を暖める道具で、空気を暖める機能はありません。10Wから80Wという消費電力を見れば当然で、部屋の空気を動かすだけの熱量が最初から無い。
だから「エアコンを消して電気毛布に替える」がうまくいくのは、布団に入っているあいだだけです。着替えるとき、朝起きたとき、部屋で過ごすときの寒さは何も変わりません。ここを分けて考えないと、期待した結果になりません。
部屋そのものを暖める側は別の道具の仕事です。起きている時間の寒さが問題なら、小型セラミックファンヒーターの記事のほうが目的に合います。電気毛布とファンヒーターは競合ではなく、担当する時間帯が違います。
2 「丸洗いOK」でもドラム式では洗えない
これが今回いちばん見落とされている条件です。商品ページの目立つところには「丸洗いOK」と書いてあるのに、仕様の細かい行に「ドラム式洗濯機は使用しないでください」と書かれている。今回の6機種のうち、洗い方を公式に明記しているものは例外なくドラム式が不可でした。
ドラム式は洗濯物を持ち上げて落とす動きで洗います。電気毛布の中には細いヒーター線が通っているので、この叩きつける動きで断線するおそれがある。メーカーが止めているのはそのためです。「洗ったら動かなくなった」というレビューは、この条件を読まずに洗ったケースが含まれます。
ドラム式しか無い場合の選択肢は、手洗い(浴槽で押し洗い)か、洗わずにシーツを間に敷いて本体を汚さない運用です。コインランドリーも基本的には使えません。業務用の洗濯機と乾燥機はどちらも家庭用より動きが激しく、乾燥機に至っては電気毛布に使えないと明記しているメーカーがほとんどです。
3 「80W」は8時間ぶんかかり続ける数字ではない
電気代を計算するときに、定格消費電力をそのまま使用時間で掛ける人がいます。80W×8時間=640Wh、という計算。これは実態とかなりずれます。
電気毛布は設定温度に達すると通電を止め、下がったらまた入れる、を繰り返します。定格はヒーターが入っている瞬間の値であって、平均ではありません。なかぎし NA-013K は定格80Wですが、公表されている1時間あたりの消費電力量は強で約50Wh、中で約27Wh。強でも定格の6割強、中なら3分の1です。広電 VWP552H-B も同じで、定格55Wに対して強 約31Wh、中 約18Wh、弱にいたっては約3Wh。2社とも、定格の6割前後しか使っていません。
室温センサーを積んだ機種は、この断続がさらに賢くなります。部屋が暖かい夜は通電が減る。だから比べるべきは定格ではなく、各社が公表している「1時間あたりの電気代」のほうです。ただしこの数字も、算出に使う電力単価がメーカーごとに違います。機種をまたいで小数点以下を比べても意味がありません。桁が同じかどうかを見る程度に留めてください。
4 つけっぱなしで朝まで、という使い方は想定されていない
「朝まで暖かくない」「夜中に暑くて起きた」という指摘は両方出ます。実はどちらも、メーカーが想定している使い方とずれています。
各社が案内しているのは、寝る少し前に電源を入れて布団を暖めておき、寝るときに切るか弱にするという使い方です。人は眠るときに体温が下がるので、暖め続けると寝つきにも寝相にも影響します。切り忘れが心配なら、自動オフタイマーを持つ機種を選ぶか、コンセント側にタイマーを噛ませるという手もあります。
もうひとつ、長時間の使用については各メーカーが注意を出しています。同じ場所に肌が触れ続ける状態は避けるように、という内容です。電気毛布の上にはシーツか敷きパッドを1枚はさんで、肌が直接触れないようにしてください。本体が汚れにくくなるので、洗う回数も減らせます。ドラム式しか無い人には、これがそのまま対策になります。
迷ったときの選び分け
- 寝るときのエアコンを止めたい/まず1枚目 → パナソニック DB-U12T。54Wの敷きタイプ、室温センサー付き、本体0.5kgで洗うのも楽
- 身長があって足先が冷える/寝相が悪い → 広電 VWP552H-B。200cmで裏面4隅のゴムバンド固定。ただし200×100cmを洗える洗濯機が要る
- 価格を抑えたい/化繊が肌に合わない → 広電 CWE401H-C。40Wで最小サイズ、よこ糸が綿100%
- ソファでも布団でも使い回したい → なかぎし NA-013K。188×130cmで約1.3kgと軽く、日本製
- 温度を細かく決めたい/幅の広さが欲しい → パナソニック DB-RM3M。188×137cmで8段階調節。ただし2.2kgと重い
- 机に向かう時間の足元だけ → アイリスオーヤマ HW-HBK。10WのUSB給電。寝具としては使えない
ダニ対策機能を使ったあと、布団ごと乾かして掃除機をかけるところまでの手順はコンパクト布団乾燥機の記事にまとめています。冬の寝具が湿気るのが気になるなら、コンパクト除湿機の記事も合わせて読んでください。
一緒に用意しておきたいもの
電気毛布は買ったその日から使えますが、シーズンの終わりで困る道具です。洗うときと、しまうときの2か所。
毛布が入る大きさの洗濯ネット
今回の6機種は、洗える機種すべてが「洗濯ネットに入れること」を条件にしています。普段使っている衣類用のネットでは電気毛布は入りません。丸く膨らむタイプなら、洗濯槽の中で毛布が偏らず、ヒーター線に無理な力がかかりにくい。使わないときはたためるので、狭い洗面所でも置き場所を取りません。
オフシーズンの収納ケース
電気毛布は1年のうち4か月ほどしか使いません。残りの8か月をどこに置くかが、ワンルームでは地味に効いてきます。押し入れの無い部屋なら、ベッド下に滑り込む厚みのケースにしておくと選択肢が広がる。不織布のものは通気性があるので、湿気がこもりにくく、透明窓付きなら中身を出さずに確認できます。しまう前に完全に乾かすこと。湿ったまま袋に入れると、次の冬に開けたときが悲惨です。
購入前に測る3か所
メジャーと、洗濯機の取扱説明書があれば5分で終わります。ここを飛ばすと、届いてから「敷けない」「洗えない」になります。
1 敷布団かマットレスの、幅と長さ
シングルの敷布団はおおむね100×200cm、シングルのマットレスは97×195cm前後です。電気毛布はこれより小さくてかまいませんが、幅が80cmだと左右に10cmずつ余ります。寝返りを打つと体が毛布の外に出るので、幅の広いベッドを使っているなら100cm級を選ぶか、敷きパッドのように固定できるものにしてください。
敷きパッドを選ぶ場合は、マットレスの厚みも測ります。四隅のゴムバンドには対応する厚みの上限があり、それを超えると外れます。
2 自分の身長と、どこを暖めたいか
130cmや140cmの敷き毛布は、身長の8割程度しかありません。肩の位置に上端を合わせるか、足先に下端を合わせるか、どちらかを選ぶことになります。先に決めておいてください。「腰から下が暖まればいい」なら130cmで十分ですし、「足先が冷えて眠れない」が動機なら200cm級を選ぶ理由がはっきりします。
掛け敷き兼用の188cm級は、敷いて使うぶんには身長をほぼカバーします。ただし掛けて使う想定の寸法なので、敷くと横幅が余って布団の下に折り込むことになります。
3 洗濯機のタイプと容量
ここがこの記事でいちばん飛ばされやすいところです。確認するのは3つ。
- 縦型かドラム式か。ドラム式なら、今回の6機種は洗濯機で洗えません
- 容量は何kgか。一人暮らし向けの5〜6kgだと、188cm級の掛け敷き兼用は入らない可能性があります
- 毛布コースがあるか。メーカーによっては、これを条件にしています
ドラム式で、手洗いもしたくないなら、選ぶ機種を変えるより運用を変えるほうが早いです。電気毛布の上にシーツか敷きパッドを敷いて、洗うのはそちらだけにする。本体は毎シーズン洗わなくて済みます。
まとめ
電気毛布は、暖房器具のなかでは珍しく「安いほうが正しい」場面が多い道具です。今回の6機種は表面温度がほぼ横並びで、高い機種が特別に暖かいわけではありません。差がついたのは、敷きか掛けか、身長に足りる長さか、そして自分の洗濯機で洗えるか。この3つでした。
1枚目として素直なのはパナソニック DB-U12T。足先まで欲しいなら広電 VWP552H-B。安く済ませたいなら同じ広電の CWE401H-C。使い回すならなかぎし NA-013K。温度を詰めたいならパナソニック DB-RM3M。デスクの足元だけならアイリスオーヤマ HW-HBK。
そして最後にもう一度。電気毛布を買っても、部屋は寒いままです。寝ている間の電気代は下げられますが、朝の寒さは別の問題として残ります。そこを承知のうえで選ぶなら、この道具の費用対効果はかなり良いほうです。
※本記事に掲載した仕様は、各メーカーが公表している値です。1時間あたりの電気代は、算出に用いる電力単価がメーカーごとに異なります。仕様は予告なく変更される場合があるため、購入前に最新の情報をご確認ください。
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