部屋干しで「どれだけ干せるか」を考えるとき、たいていは物干しの長さで判断すると思います。竿が何cmあるから、ハンガーが何本かけられる、という具合に。
ですが実際に上限を決めているのは、長さではありません。2つあります。ラックが支えられる重さと、部屋が引き受けられる水の量です。
先に結論を書きます。洗濯1回分の濡れた洗濯物は、ランドリーラックのハンガーバーの耐荷重を超えます。バーの耐荷重は2〜5kgしかないのに、5kgの洗濯機で1回回した洗濯物は、濡れた状態で6〜7kgになるからです。そしてそのうち1.8〜3.2Lは水で、干している間に部屋の中へ出ていきます。
この記事が向いていない人
- 早く乾かす方法を探している人。この記事は「どれだけ干せるか」の上限の話です。乾燥時間の短縮は扱いません。
- 部屋干しのにおいを解決したい人。洗剤や柔軟剤の効果には触れません。
- 「何枚干せるか」を知りたい人。枚数では書きません。衣類1点の重さは種類でばらつきが大きく、枚数で言い切ると外れます。この記事は重さで書きます。
濡れた洗濯物は何kgになるか
まず押さえておきたいのは、洗濯機の「5kg」という表示は、乾いた状態の衣類の重さだということです。洗濯機が5kgまで洗えるという意味であって、干すときに5kgというわけではありません。
脱水したあとの洗濯物は、乾燥状態の重さに対しておおよそ45〜80%の水分を含みます。幅が広いのは素材によるからで、綿のタオルのような天然素材は水を多く抱え、化繊は少なくて済みます。同じ重さでも、タオル中心の日とシャツ中心の日では違うということです。
洗濯機の容量から計算するとこうなります。詰めすぎると洗えないので、定格容量の8割で回した前提で出しています。
| 洗濯機の容量 | 1回分(乾燥時) | 含まれる水 | 濡れた総重量 |
|---|---|---|---|
| 4.5kg | 3.6kg | 1.6〜2.9kg | 5.2〜6.5kg |
| 5.0kg | 4.0kg | 1.8〜3.2kg | 5.8〜7.2kg |
| 6.0kg | 4.8kg | 2.2〜3.8kg | 7.0〜8.6kg |
| 7.0kg | 5.6kg | 2.5〜4.5kg | 8.1〜10.1kg |
5kgの洗濯機1回分が、濡れた状態では6〜7kgになる。ここが出発点です。
ラックの耐荷重は「全体」と「バー」で別
ここが本題です。ランドリーラックの仕様を見ると耐荷重が書いてありますが、「全体の耐荷重」と「ハンガーバーの耐荷重」は別の数字です。そして干すときに効くのは、後者のほうです。
当サイトのランドリーラック比較記事で確認した6機種の公表値を並べます。
| 機種 | 全体の耐荷重 | ハンガーバー |
|---|---|---|
| アイリスオーヤマ TLR-4 | 20kg | ― |
| 平安伸銅工業 L-6 | 16kg | ― |
| 積水樹脂 DSR-9 | 15kg | 前バー5kg |
| 山崎実業 tower 2482 | ―(棚各2kg) | 2kg |
| ekans LSH-500 | ―(棚各10kg) | 5kg |
| アイリスオーヤマ LR-16S | 10kg | ― |
バーの耐荷重が公表されている3機種は、2kg・5kg・5kg。全体で20kg支えられる機種があっても、バー1本にかけられるのはその一部です。
さっきの数字と並べます。
棒がどれも赤い線の右にあります。どの容量の洗濯機でも、1回分をバー1本にまとめてかけると耐荷重を超えます。いちばん小さい4.5kgの洗濯機でも、バー2kgの機種に対しては倍以上です。
耐荷重を超えたからといって、その場で折れるとは限りません。効いてくるのはたわみと、突っ張り式なら固定の緩みです。毎日その使い方をしていると、少しずつ下がってくる。「最近ラックが傾いてきた」という話は、たいていここから始まります。
答えは「分けて干す」
解決は単純で、1本のバーに集中させないことです。
- 棚も使う。上の表のとおり、棚には棚の耐荷重が別に設定されています(各2kg〜10kg)。タオルなど重いものは畳んで棚に置き、ハンガーにかけるのは軽いものにすると、荷重が分散します
- 重いものを端に寄せない。バーの中央がいちばんたわみます。重いものは支柱に近い側へ
- 洗濯の回数を分ける。まとめて1回より、少量を2回のほうが、干す場所の制約には合います
ラックを買う前なら、仕様表で「バーの耐荷重」が公表されているかを見てください。上の6機種でも、公表しているのは3機種だけでした。全体耐荷重しか書かれていない場合、バー1本にどれだけかけていいのかは分かりません。数値を出しているメーカーのほうが、そこを考えて作っていると読めます。
その水は、部屋の中に出る
もうひとつの上限がこちらです。洗濯物が乾くというのは、含んでいた水が部屋の空気に移るということにほかなりません。
上の表の「含まれる水」がそのまま部屋に出る量です。水は1kgが1Lなので、5kgの洗濯機1回分なら1.8〜3.2L。ペットボトル1〜2本ぶんの水を、部屋の中で蒸発させていることになります。
これが結露の記事で「部屋干しは湿気の発生源」と書いたことの中身です。あちらは何℃で結露するかという話でしたが、量にするとこの数字になります。冬に部屋干しが増えるのと、結露の季節が重なるのが厄介なところです。
除湿機の能力は足りるが、タンクは足りないことがある
除湿機の比較記事で確認した6機種の除湿能力は、1日あたり5.0〜10L。洗濯1回分の1.8〜3.2Lに対して、能力そのものは足りています。
ただしタンクの容量は2.0〜4.5Lです。タンク2.0Lの機種で、水を多く含んだ洗濯物を回収させると、1回分でタンクが満杯になることがあります。満杯になれば運転は止まる。「除湿機を回して寝たのに、朝まだ乾いていない」というのは、途中で止まっていた可能性があります。
除湿能力の数値は測定条件のもとでの値なので、実際の部屋ではこれより落ちます。能力の数字より、タンクの容量と排水のしやすさを見たほうが、部屋干しの用途には合っています。
回収しない機器と、回収する機器
ここは区別しておいたほうがいいところです。
どちらが良いという話ではなく、「速く乾かす」と「部屋の水分を減らす」は別の目的だということです。サーキュレーターだけで部屋干しをすると、洗濯物は早く乾きますが、その水は全部部屋に残ります。窓の結露が増えるのはこのときです。
組み合わせるなら、除湿機で回収しつつ、サーキュレーターで洗濯物に風を当てる。役割が違うので両立します。
まとめ
- 干せる量を決めるのは物干しの長さではなく、ラックが支えられる重さと、部屋が引き受けられる水の量
- 洗濯機の容量表示は乾いた状態の重さ。脱水後は乾燥重量の45〜80%の水を含む
- 5kgの洗濯機1回分は、濡れた状態で5.8〜7.2kg
- ラックのハンガーバーの耐荷重は2〜5kg。全体耐荷重とは別の数字で、1回分をバー1本にまとめると超える
- 答えは分けて干す。棚も使い、重いものは支柱側へ
- 1回分で1.8〜3.2Lの水が部屋に出る。除湿機の能力は足りるが、タンク2.0Lだと途中で止まることがある
- サーキュレーターは水を回収しない。速く乾くが、水は部屋に残る
部屋干しがうまくいかないとき、原因はたいてい「干し方」ではなく量です。1回に洗う量を減らすだけで、耐荷重も水の量も同時に下がります。ラックを買い替える前に、洗濯の回し方のほうを先に見直してみてください。
※濡れた洗濯物の重量と部屋に出る水の量は、当サイトが上記の前提(定格容量の8割で運転、脱水後の含水率は乾燥重量の45〜80%)で算出した目安です。実際は素材、脱水の設定、洗濯機の方式によって変わります。耐荷重・除湿能力・タンク容量は各メーカーの公表値で、除湿能力は各社が定める測定条件下での値です。仕様は予告なく変更される場合があるため、購入前に最新の情報をご確認ください。
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