家電を買うときに測る場所として、まっさきに思いつくのは「置きたい場所」だと思います。ここに冷蔵庫を置きたいから、幅は何cmまで。それは正しいのですが、順番としては2番目です。
先に測るのは、運び込む道のほうです。置き場所が数cm足りなかった場合は、家具をずらすなり置き方を変えるなり、何とかする方法があります。ところが玄関を通らなかった場合、できることは返品しかありません。取り返しのつかないほうから測る、というだけの話です。
この記事では、測る場所を7か所に整理しました。道が4か所、置き場所が3か所。そのうえで、測った数字にそのまま本体サイズを当ててはいけない理由を説明します。仕様表の幅×奥行きは、その家電が実際に占める寸法ではないからです。
この記事が向いていない人
- 一般的な寸法の目安を知りたい人。この記事に「玄関ドアはだいたい何cm」という数字は出てきません。物件による差が大きく、目安を書くと測らなくなるからです。
- すでに買ってしまって、入らなかった人。搬入方法の相談は販売店か引越し業者が窓口です。この記事は買う前の話に限ります。
- 卓上の小物だけを買う人。ケトルやトースターなら、置き場所だけ測れば足ります。道を測る必要があるのは、抱えて運ぶサイズからです。
測る順番は「道 → 場所 → 余白」
3段階です。どこかで引っかかった時点で、その機種は候補から外れます。
- 道:玄関から置き場所までのどこかに、本体より狭い場所はないか
- 場所:置きたい場所の幅・奥行き・高さ
- 余白:本体サイズに足さなければいけないぶん(放熱、扉の開閉、壁からの距離)
3番目が抜けやすい。2で「ぴったり入る」と判断した機種が、3を足すと入らないというのが、いちばん多い失敗のかたちです。
1. 運び込む道を測る(4か所)
① 玄関ドアの有効幅
ここでいちばん間違えるのが、枠の内寸を測って満足してしまうことです。実際に通れるのは、ドアを開いた状態で残っている幅、つまり有効幅のほうです。
ドアを90度開いても、ドア本体の厚みは枠の内側に残ります。そのぶん狭い。さらに、ドアが90度まで開かない玄関はよくあります。靴箱、壁の出っ張り、ドアストッパー。半端な角度で止まると、有効幅はもっと小さくなります。
測り方は、ドアを開けられるところまで開けて、その状態で残っている幅を測るだけです。枠から枠ではなく、通れるところの実寸を測ってください。ドアが外せる構造なら、外したときの枠内寸も控えておくと選択肢が広がります。
② 廊下の幅と、曲がり角
まっすぐな廊下なら、廊下の幅が本体の奥行きより広ければ通ります。運ぶ人が手を添える余裕として、数cmは余分に見ておいてください。
問題は曲がり角です。ここは幅だけでは判断できません。曲がり角では、本体の奥行きではなく長辺が引っかかります。回れるかどうかは、曲がる手前の廊下幅、曲がった先の廊下幅、本体の長辺と奥行きの4つが絡む話で、正直なところ、その場で暗算できる問題ではありません。
なので、ここは自分で判定しようとしないほうがいいです。曲がる手前と曲がった先の両方の廊下幅を測って、数字を控えておく。冷蔵庫や洗濯機のような大物では、販売店が搬入経路の確認をしてくれることがあります。測った数字を持っていれば、その相談が成立します。持っていなければ相談にもならない。測ることの目的は、自分で判定することではなく、判定できる人に渡せる材料を作ることです。
③ 室内ドアの有効幅
玄関を通ったのに部屋のドアで止まる、というのは起こります。室内ドアは玄関ドアより狭いことが多いので、玄関で安心しないでください。測り方は①と同じで、開いた状態の実寸です。
洗面所や浴室に置くものは、その入口も測ります。ワンルームだと、洗面所の入口が家じゅうでいちばん狭いことがあります。
④ 階段・エレベーター(該当する場合)
エレベーターがない建物の2階以上なら、階段を測ります。踊り場での方向転換が、階段でいちばん狭い場所です。段の幅ではなく、踊り場の広さと天井までの高さを見てください。
エレベーターがある場合は、かごの間口(入口の幅)と、奥行き、高さの3つ。入口が通っても、中で立てられないと運べません。
2. 置き場所を測る(3か所)
⑤ 幅・奥行き・高さ
3つとも測ってください。幅と奥行きだけで決めて、高さで詰まるのがよくある失敗です。棚の下、吊り戸棚の下、ロフトの下。
もうひとつ、幅は上下2か所で測るのがおすすめです。巾木(壁の下の出っ張り)があると、床に近いところだけ狭くなっていることがあります。
⑥ コンセントの位置
寸法ではありませんが、置き場所を決める条件としては同じ重みがあります。コードの長さは機種によってかなり違います。1.2mの機種と2mの機種では、置ける場所が変わる。
そして消費電力の大きい家電は、延長コードを使わないよう取扱説明書で指定されていることがあります。その場合、壁のコンセントに直接届く距離に置くしかありません。「延長すればいい」という前提で場所を決めると、あとで詰みます。
⑦ 上に何があるか
置き場所の真上を見てください。吊り戸棚、棚板、ハンガーラックのバー、窓のカーテン。これが次の章に直結します。
3. 本体サイズに足すもの
ここが3段階目です。仕様表の幅×奥行き×高さは、その家電が占める寸法ではありません。下限であって、実際にはこれに余白が乗ります。
足すものは3種類です。
- 放熱スペース:熱を出す家電に指定があります。小型電子レンジを6機種調べたときは、「右10cm以上・天面10cm以上」の機種、「天面10cmのみ」の機種、「天面・後ろは10cm以上」の機種と、指定の場所も数字も機種ごとにばらばらでした。カテゴリー共通の目安は作れません
- 扉・ふたを開くスペース:電気圧力鍋には、本体高さ21cmでもふたを開けると約42.7cmまで伸びる機種があります。吊り戸棚の下に置くと、置けてもふたが開きません
- 壁や家具からの距離:加湿器は、壁や家具から一定の距離をあけるよう各社が指定しています。壁にぴったり寄せられる家電のほうが少数です
「最小必要設置スペース」が公表されていることがある
ここまでの足し算を、メーカーがすでにやってくれている場合があります。小型冷蔵庫では、外形寸法とは別に「最小必要設置スペース」を完成寸法で公表している機種があります。この数字があるなら、自分で余白を足す必要はありません。そのまま置き場所の寸法と比べてください。
ちなみに冷蔵庫は、この設置幅がカテゴリー内で51.4cmから67cmまで開きます。外形寸法の順位と、設置幅の順位が入れ替わることがあるので、外形だけで絞り込むと候補を取り違えます。
指定は取扱説明書にしか書いていないことが多い
厄介なのがここです。放熱スペースの指定は、製品ページに載っていないことがよくあります。メーカーサイトの取扱説明書PDFまで降りて、ようやく数字が出てくる。買う前にそこまで見る人は多くありません。
置き場所がぎりぎりだと分かっているなら、候補を絞ったあとで取扱説明書PDFを開く工程を1回だけ挟んでください。メーカーサイトの製品ページから、たいていダウンロードできます。
測るときの3つのコツ
- 数字はメモではなくスマホで残す。店やサイトで見比べるときに、7か所ぶんを記憶で扱うのは無理があります。写真と一緒に控えておくと、あとで「どこの数字だったか」を悩まずに済みます
- 1cm単位で丸めない。51cmと51.4cmでは判断が変わることがあります。特に搬入経路はぎりぎりの勝負になるので、細かく取ってください
- 置き場所は、床に養生テープで四角を作ってみる。数字だけだと大きさの感覚が掴めません。折りたたみローテーブルのように、床に置いて生活動線に絡むものは、これをやると判断が早くなります
まとめ
- 置き場所より先に、運び込む道を測る。置き場所は何とかできるが、入らなかったら返品しかない
- 道は4か所:玄関ドアの有効幅/廊下と曲がり角/室内ドア/階段・エレベーター
- ドアは枠の内寸ではなく、開いた状態で残っている幅を測る
- 曲がり角は自分で判定しない。両側の廊下幅を測って、販売店の搬入経路確認に渡す
- 置き場所は3か所:幅・奥行き・高さ/コンセントの位置/上に何があるか
- 仕様表のサイズは下限。放熱・扉の開閉・壁からの距離を足した寸法が実際に要る大きさ
- 放熱スペースの指定は取扱説明書PDFにしか書いていないことがある。候補を絞ってから1回だけ開く
測るのは面倒ですが、7か所で15分もかかりません。その15分を惜しんで返品の手配をすることになると、失うのは半日です。買う機種を決める前、候補を絞る前に、先に測っておいてください。数字が先にあると、候補が勝手に絞れて、選ぶ作業そのものが短くなります。
※本記事に掲載した寸法・指定は、各メーカーが公表している値を当サイトが確認したものです。必要な放熱スペースや設置条件は機種ごとに異なるため、購入前に各機種の取扱説明書をご確認ください。搬入の可否は建物の構造や経路の状況によって変わります。判断に迷う場合は販売店や引越し業者にご相談ください。仕様は予告なく変更される場合があります。

